ハイレゾとは?
ハイレゾとは、24bit/48kHzや24bit/96kHzと表されるようにCD音源の16bit/44.1kHzよりも情報量の多い音楽ファイルのことです。
種類 | ビット数 | サンプリング周波数 | ファイルサイズ | 備考 |
---|---|---|---|---|
圧縮音源 | 16bit未満 | 44.1kHz | 小 | 16kHz以上の領域では一部データが削減されている |
CD音源 | 16bit | 44.1kHz | 中 | 圧縮はされていない |
ハイレゾ音源 | 24bit | 48kHz | 大 | 放送業界では48kHzでの納品が多くよく見られる |
24bit | 96kHz | 大 | 理想的なハイレゾ音源 | |
DSD | 1bit | 2.8224MHz | 極めて大 | -1と1だけで音声を表現する 小さい音を表現するのは苦手 |
ハイレゾ音源のメリットは次の通りになります。
- ビット数が多い。ビット数が多いと正確に音楽を表現できる
- サンプリング周波数が高い。サンプリング周波数が大きいと、22.05kHzを超える部分を表現することができる。
- 折り返しノイズに強い。44.1kHzの時に発生していたノイズを大きく減らすことができる。
- サンプリング周波数の変換を回避できる。48kHzや96kHzで録音した音楽をCD用に44.1kHzに変換すると音質が大きく悪化してしまう。
- エフェクトの音質に好影響がある。一部のフィルタはサンプリング周波数に近い周波数で音が歪みやすい。
一方、デメリットは次の通りになります。
- ファイルサイズが大きい。
- 作り手が積極的でないと音源が発売されない。
- 音源を揃えるのにお金がかかる。
- ストリーミングで配信していない。
ここから下は、メリットとデメリットについて解説していきます。
ビット数が多い
16bitでは-32768から32767の間で音楽を表現します。一番細かく表現しても-96db程度で人間の耳が認識できるとされる-120dbには足りません。
24bitでは-8388608から8388607の間で表現することができ、人間の耳の性能よりも細かく表現することができます。
24bitの方が細かく表現できることがわかります。
16bitや24bitのように細かい点で表現するものをPCM音源と呼びます。
一方で2つの点だけで表現する方式も存在し、DSDと呼びます。
DSDは-1と1の二つの数値で音楽を表現する方式です。
ヘリコプターの傾きを左右に制御するのに例えると、-1なら左、1なら右のように波形をコントロールする方式です。
サンプリング周波数が高い
サンプリング周波数が44.1kHzの時では、最高で22.05kHzまでの音声を記録できます。
人の耳が聞き取れる周波数は20khz付近までと言われています。
数字的には22.05kHzでも十分に思えますが、実際には22.05kHz以上の周波数を切り取ると、天井にぶつかったような足りない感じを受けるようなことが多いと思います。
また、音の体積である音圧の大きさが、高域を取り除くことで変化してしまうことも音質に影響している可能性があるように感じています。
折り返しノイズに強い
サンプリング周波数を上げることのメリットは、こちらの要素の方が大きいのではないかと思います。
折り返しノイズとは、サンプリング周波数の半分よりも大きい周波数の音を録音すると、本来と違う周波数の音が録音されてしまう現象です。
サンプリング周波数が48kHzの場合、30kHzの音声を記録しようとすると、実際には18kHzのところに30kHzの音が足し算されることになります。当然音質へ大きな悪影響を及ぼすことになります。
(参考資料:やる夫で学ぶディジタル信号処理)
マイクで録音したアナログの音声には24kHzを超える成分が多く存在しています。
(ただしボーカルでよく使われるマイクのNeumann U87aiのように、20kHzあたりから急激に減衰するものもあります)
アナログの音声をデジタル化する時には高域を切り取る必要がありますが、アナログの世界で使えるフィルタは急激な変化を起こすことを苦手にしています。
人間の可聴域の20kHzまでに影響を及ぼさずに、24kHz以上は無音にするという都合の良いフィルタを作ることは非常に難しいです。
しかし、サンプリング周波数を大きくして96kHzにすると、20kHzから48kHzまでの間に無音にできれば良いことになります。大分条件は緩やかになり、現実的に作ることができるようになります。
実際には、48kHzの録音であっても機械の内部では96kHzのような高いサンプリング周波数で録音され、録音されたものをデジタルフィルタで48kHzに落とすという処理を行う機械が多いのではないかと思います。
録音する機械の内部で対策されているので影響ないんじゃないか、とも思えます。
しかし、プレイヤーの演奏の一つ一つが一度きりの大切な録音だと考えるのであれば、録音の際は48kHzで録音するよりも、96kHzで録音する方が安全なのではないかと考えています。
Hiresifyでは24kHzから48kHzの間で緩やかに減衰する音が理想と考えております。そのため、高域補完を行った部分については緩やかに減衰をするように設計されています。
サンプリング周波数の変換を回避できる
ハイレゾ音源では基本的にサンプリング周波数は96kHzか48kHzで配信されます。
ほとんどの録音の場合、サンプリング周波数は96kHzか48kHzのどちらかで録音されていると思います。
ハイレゾ音源では録音をそのまま配信することができますが、CDではサンプリング周波数を44.1kHzにする必要があります。
サンプリング周波数が48kHzの時では1/48000秒に一度数値が変わりますが、44.1kHzの時は1/44100秒に一度数値が変わります。つまり、サンプリング周波数の違いによって音の記録されるタイミングに差が出ます。
このタイミングの差によって、大きな音質の劣化が発生します。
48kHzと44.1kHzは数字としては僅かな差かもしれませんが、音質の差は大きいと考えています。
エフェクトの音質の差
音声をエンジニアが編集する中で、例えば高音だけ持ち上げたい、といったエフェクトを使用することがあります。
エフェクトの種類によってはサンプリング周波数に近づくほど周波数が歪んてくるものがあり、48kHzの時と96kHzの時で音質に変化が起こります。
Hiresify内部で使われている直流遮断フィルタはこのタイプのエフェクトで、音質の劣化を最小限にするために2048倍のオーバーサンプリングを行っている領域でエフェクトを実行しています。
次に、デメリットに解説していきます。
ファイルサイズが大きい
ハイレゾ音源はファイルサイズがとても大きいです。
CD音源に対して3倍あります。
圧縮音源に比べると10倍くらい大きいと思います。
256GBのmicroSDカードがすぐに満杯になってしまいます。
作り手が積極的でないと音源が発売されない
ハイレゾ音源に否定的なアーティストだと配信でもAACのみのことが多いです。
また、アーティストが活動を停止していたり、権利関係の問題でリリースできないなどの場合もハイレゾ音源が手に入らないことがあります。
Hiresifyを使うことでプレイリストのハイレゾ化に貢献できれば良いなと考えています。
音源を揃えるのにお金がかかる
アーティスト一人の音源を揃え直すにも大きなお金がかかります。
音源が揃うまでの間、Hiresifyでお茶を濁すのも悪くない選択だと思います。
ストリーミングで配信していない
Spotifyなどのほとんどの音楽配信サービスでは圧縮音源での配信となっています。
最近はAmazon Music Unlimited HDや、mora qualitasといったハイレゾ配信も増えてきていますが、全ての音源がハイレゾ化されるのはまだ遠い印象です。
以上がハイレゾ音源のメリットとデメリットになります。
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